泥舟だより

2019 / 03 / 10  20:46

同時代への郷愁

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【同時代への郷愁】

  久しぶりに休みがとれた今日、話題の映画を鑑ました。アカデミー賞候補の下馬評の高い、「グリーンブック」です。

黒人の天才ピアニストに、運転手兼用心棒として雇われた、粗野なイタリア系白人との、巡業ツアーを描いた実話です。時代設定は1962年で、ケネディ大統領による、人種差別を禁ずる「公民権法」が制定される、2年前です。

 

 

  二人は黒人差別の激しい、ヴァージニア、ケンタッキー、ジョージア州など、アメリカ南部へのコンサートツアーに出かけます。タイトルの「グリーンブック」とは、黒人でも宿泊できるツアーガイド・ブックだと知りました。

 

  気候温暖なアメリカ南部は、綿花プランテーションで使役する黒人奴隷が必要になり、1860年代には400万人を数えました。カルチャーコンプレックスとも言える、白人上流階級の欺瞞と、露骨な白人至上主義の差別に身の危険をさらしながら、2ヶ月に及ぶ旅のなかで、生涯続く友情が育まれるのです。

 

  レコード会社から提供されたテールのピンと立った、パステルグリーンのキャデラックにも郷愁を覚えますが、1962年は私が移民船の人となって、ブラジルへ単身移住した時と重なります。途中で下船したサンフランシスコ近くの、ストックタウンの田舎町で目にした、人種差別が蘇ってきました。

 

  ピアニストはホテルのレストランで受けた、屈辱にいたたまれず、コンサートを放棄して黒人がたむろする場末のバーで、請われるままに、飛び込みで弾くジャズのスイングに、涙が止まりませんでした。